2008年 08月 29日
Chim↑Pom『友情か友喰いか友倒れか/BLACK OF DEATH』 |
清澄白河のhiromiyoshiiで8月30日まで開催中のChim↑Pom『友情か友喰いか友倒れか/BLACK OF DEATH』を観た。
ブロックで組まれた3畳ほどの小屋がある。トタン屋根がかかっている。窓のようにマジックミラーが嵌め込まれている。中からは外が見えない。その空間でChim↑Pomメンバーの水野氏がカラスとネズミと20日間共生するというものなのだが、19日目となった今日では、もうカラスは死んで剥製にされているし、ネズミの姿も見えない。水野氏は瞑想(?)している。想像以上に静かなパフォーマンスだった。
水野氏が毎日綴った手記が読めるようになっていて、そこには生活状況や共生動物との交流の過酷さの一方、スタッフや観客と会話したことがこの上ない喜びのように記されていた。
水野氏はおそらく観客(私)が来た気配をとらえていたし(壁には空気孔があいている)、手記を読んだこともわかっていただろう。何か声をかけなければと思ったし、それが義務だとも思った。会話のはじまりを探して小屋の周りを10分くらいぐるぐるしてみたのだけれど、何も浮かんでこなかった。もう帰ってしまおうと出口に向かったが、やっぱり引き返して話しかけに行った。案の定、本当にどうでもいいことしか話せなかった。
そんな会話でもあったほうが良かったのだろうか。義務感から開始した会話はコミュニケーションと呼べるだろうか。何か大事なものの欠片でも産んだだろうか。大事な何かを失ってしまっただろうか。ずっと考えているのだが、まったく答えが出ない。
絶対的な経験をした/している人を前にしたとき、人は(少なくとも私は)話す言葉を見つけられない。話す権利が与えられていないように感じてしまう。そもそも話をすることに権利問題など発生するはずがないのだけれど、まったく逆説的に、虚像の権利問題はそれが与えられない側によって捏造されることもあるのだ。
自分の経験を絶対視するような厚顔無恥な連中とは積極的に関わる意味はないだろうが、受けて側が捏造した虚像の権利による交通障害は解消したほうがいい。虚像の権利は徹底的に相対化されるべきだと思う。問題はこの抽象をいかに具象にしていくかということなのだが。
今回のChim↑Pomのパフォーマンスは、異なる人種や国籍、世代、戦争体験などといった、「他者」との関係の縮図であり、他者の他者性をいかに越えていくかという問いかけのように思えた。
ブロックで組まれた3畳ほどの小屋がある。トタン屋根がかかっている。窓のようにマジックミラーが嵌め込まれている。中からは外が見えない。その空間でChim↑Pomメンバーの水野氏がカラスとネズミと20日間共生するというものなのだが、19日目となった今日では、もうカラスは死んで剥製にされているし、ネズミの姿も見えない。水野氏は瞑想(?)している。想像以上に静かなパフォーマンスだった。
水野氏が毎日綴った手記が読めるようになっていて、そこには生活状況や共生動物との交流の過酷さの一方、スタッフや観客と会話したことがこの上ない喜びのように記されていた。
水野氏はおそらく観客(私)が来た気配をとらえていたし(壁には空気孔があいている)、手記を読んだこともわかっていただろう。何か声をかけなければと思ったし、それが義務だとも思った。会話のはじまりを探して小屋の周りを10分くらいぐるぐるしてみたのだけれど、何も浮かんでこなかった。もう帰ってしまおうと出口に向かったが、やっぱり引き返して話しかけに行った。案の定、本当にどうでもいいことしか話せなかった。
そんな会話でもあったほうが良かったのだろうか。義務感から開始した会話はコミュニケーションと呼べるだろうか。何か大事なものの欠片でも産んだだろうか。大事な何かを失ってしまっただろうか。ずっと考えているのだが、まったく答えが出ない。
絶対的な経験をした/している人を前にしたとき、人は(少なくとも私は)話す言葉を見つけられない。話す権利が与えられていないように感じてしまう。そもそも話をすることに権利問題など発生するはずがないのだけれど、まったく逆説的に、虚像の権利問題はそれが与えられない側によって捏造されることもあるのだ。
自分の経験を絶対視するような厚顔無恥な連中とは積極的に関わる意味はないだろうが、受けて側が捏造した虚像の権利による交通障害は解消したほうがいい。虚像の権利は徹底的に相対化されるべきだと思う。問題はこの抽象をいかに具象にしていくかということなのだが。
今回のChim↑Pomのパフォーマンスは、異なる人種や国籍、世代、戦争体験などといった、「他者」との関係の縮図であり、他者の他者性をいかに越えていくかという問いかけのように思えた。
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by sound-and-vision
| 2008-08-29 22:22